「I❤俳句プロジェクト」とは
「訪問俳句団」以前の「I❤俳句プロジェクト」についてご紹介します。
●きっかけは一冊の本づくり
2010年、明治書院より『親子で楽しむ こども俳句塾』を刊行する機会を得ました。
内容は、俳句の成り立ちから、俳句実作のヒントや句会のやり方など、
知識だけでなく、俳句の楽しみ方を説明した一冊です。
十代で試行錯誤しながら俳句を始めた経験をもとに、
ライフワークとしている、俳句ワークショップのなかで伝えてきたことを、
形にすることができました。
ちょうど句歴二十年の節目でもあり、
新しい一歩として、子供たちや初心者の方たちを対象に、
俳句実作の楽しさや言葉の力を伝えようと
続けてきたワークショップを、海外でもやってみたらどうだろう、と思い立ちました。
海外で日本に興味を持つ方たちにも楽しんでもらえるのでは、と思ったのです。
日本の美意識が凝縮されている俳句の形式や、季語を身近に感じてもらうことで、
日本の美意識や日本人の思考について、具体的に触れる機会になる、と考えました。
俳句は世界で最も短い詩として、各国で知られています。
たくさんの国々で、それぞれの言語で楽しむ方も大勢います。
そのような、日本を、日本の詩を愛してくれている人たちに会ってみたい、とも思いました。
海外でのワークショップも、これまでと同様に、一対一のコミュニケーションを大切にしています。
一度にたくさんの方を対象にはできませんが、深く密なやりとりを通して、
一生の記念になるような、大切な一句を生み出すワークショップです。
まさに「座の文芸」である俳句にふさわしい、俳句との出会いの場であると感じています。
人と人、言葉と言葉の出会いから、一句が形成されていく。
そんな、俳句ならではの素敵な瞬間を、たくさんの人に届けたい、という思いで活動しています。
このプロジェクトを応援していただけたら、とても幸せです。
俳句を通してつながる「俳縁」が、日本中に世界中に広がるよう、祈っています。
●俳句で伝えたいこと
ワークショップで生まれた俳句は、わたしにとっても宝物。
それは、作者にとってのかけがえのない一句であると同時に、
生まれる場所に立ち会ったわたしの記念の一句ともなる。
だれかの一句が、わたしの一句になる。
その場でわたしが贈った俳句も、わたしの俳句でありながら、その場にいる人たちの俳句になる。
なんて素敵なことだろう、と思う。
わたしが、俳句を通して一番伝えたいのは、その感覚なのかもしれません。
俳句が、内と外の境界をあいまいにする。
誰かの喜びを、自分の喜びだと感じられるのは、幸せな一瞬。
ワークショップは、そんな幸せを何度でもわたしに与えてくれる。
参加してくださった方の、一句ができたときの、誇らしいような恥ずかしいような、
なんとも言えない嬉しい表情を見ると、心が満たされます。
大人も子供も、年代も関係なく、住む場所も国籍さえも関係ない。
自分の一句を手に入れた時、表情が突然に輝くのは、同じ。
その輝きが、わたしの活力です。
これからも、ワークショップの場で、たくさんの輝きに出会えますように。
2012年3月14日
大高 翔
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